何をしゃべったのかはどうでもいい。それに、査問する人たちも、傍聴する人たちも、アホに描かれすぎで気の毒であり、こっちも攻撃する気持ちが失せる。

滑り出しは好調だった。戦争で、息子や亭主を亡くした、街の悲しみを映し出すのに成功していたと思うし、あのカギ手の帰還兵が、ルークのこと嫌いだったって言った気持ちも、あたしにはなんとなくわかる気がしたし。 いつか記憶が戻るって、我々は分かっているから、心配な気持ちで見つめずには居られないし。

つまり、みんなの決めた憲法なるものがあって、国家権力といえど、市民の権利を理不尽に奪うことは許されないのだという主張をしたいのなら、つまらないことを考えないでそれをまっすぐやったらよかったと思う。

どこかの地下室に眠っている戦没者慰霊碑を引っ張り出すあたりから、てんで様子がおかしい。 余計なものをごちゃごちゃくっつけて、ボロ丸出しというか、小さいときから(その憲法でうたっている)愛国心を刷り込まれて育つ市民としての、これがこの作者の地なんだという感じもしないでもない。