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[コメント] ワンス・アンド・フォーエバー(2002/米)

ローラ・ブッシュ米国大統領夫人は自分で手紙を配達出来るのか?
sawa:38

戦争を題材にとった作品で最も大事な事は、「仲間」があっけなく殺されていくシーンと、家族の不安感を描ききれるかだと思っていた。

敵兵をバタバタとなぎ倒すヒーロー映画の時代は終わった。サンダース軍曹やランボーに感情移入していれば安心だった時代は終わったのだ。もしも自分が戦場に立ったならば、そういったヒーロー(現実の人生ではもちろん自分が主役なのだから)になったつもりでいれば生き残れる、もしくは活躍できると錯覚させる映画は今の時代否定されるようになった。

実際に不確実に戦場を飛び交う銃弾や砲弾に、「主役」と「脇役」を見定める術は無い。誰でも「主役」のつもりの人生が唐突に終わらされる。遺体となった瞬間に初めて、自分が「脇役」だった事に気づくのだ。

本作品ではそういった「あたりまえ」の事をこれでもか、これでもかと見せ付けた。死ぬ間際に、最愛の家族への言葉を述べる猶予もなく死んでいく。「脇役」ですらなく単なるエキストラに過ぎなかった事に驚く間も無くである。

この作品で繰り返される「仲間」のあっけない死は、観客自身もかつてのようにヒーローであり得る事を否定し、あなたもただのエキストラにしか過ぎないよと念押しされてるような気がした。

戦争でヒーローなんていないという事実を繰り返し見せる本作が公開される中で、ただ一人ヒーローになりたがってる男がいる。彼は夫人に戦死の手紙を配達させる勇気はあるのだろうか?

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)プロキオン14[*]

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