[コメント] 青い春(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
監督も俳優も原作(未見)も特に好きな要素がなかったのになぜか惹かれるものがあり、かなり期待して見に行きました。オープニングや音楽にはすごくゾクゾクさせられたし退屈もしなかったのですが、期待してた程ではなく「まあまあ」という感想で見終わりました。でも何日かたって青木の最後のセリフ「俺も一緒に連れていってくれよ」というのを思い出していたら「これは九条と青木の友情物語だ」と気付いたんです。
青木と九条は友達同士だけどかなり違う世界を持っていて、最初青木は自分の世界の方に九条を引き寄せようとする。「番のしめしがつかない」とか言っていわゆる番長のイメージの通りに振る舞わせようと。でも九条が結構ガンコで「どうせ俺の世界は誰にも理解できない」と思っている風情(落書きの人物を青木にちゃんと説明しようともしない)。反発された青木が自分の世界のイメージを暴走させて(変身して)まで九条を自分の土俵に引っ張り込もうとしてもやっぱりダメ。そうすると今度は青木の方から九条の世界に歩み寄ろうとする。恐怖心があると九条の見ている世界には行けない(ベランダゲームで脅える二年生に、九条は「お前じゃ行けない」と言った)。だから一晩中屋上に立って恐怖心を絶とうとする。自分の体や影を黒く塗りつぶして九条の描いた落書きの人物になろうとする。九条の土俵で勝負しようと十三回手を叩く。「俺も一緒に連れていってくれよ」。九条の世界の方に来てもまた極端に走ってしまう青木。その暴走っぷりが青春。九条の暴走しなさっぷりもまた青春。
こう書くと青木から九条への一方的な友情みたいですが、そうじゃないことは二人が殴り合うシーンを見ればわかります。青木が一発殴れば九条も一発殴る、二発殴れば二発返す。お互いに同じ回数だけ殴っている。二人とも相手が自分と同等だとわかっている。
そんな訳で自分の中ではこれは青木の話です。青木が九条との関係を模索する話。他のキャラのエピソードは置いといて、ちょっと甘めで★5。
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