[コメント] インソムニア(2002/米)
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ハリウッドの娯楽サスペンスとしては合格点だと思う。この手のサスペンスは90年代にかなり多かったが、最近の作品と言えば完全にネタが尽きてしまったかのようなワンパターンなものばかり。この映画もある意味その部類の一つだが、他に比べて魅力的な要素はあったと思う。
まず、クリストファー・ノーランの演出が良い。この人は監督より脚本家として評価していたのだが、監督としての手腕も見事に証明。アル・パチーノ他の大物俳優を相手にしてもしっかり演出していると思う。内容は平凡ではあるものの、手堅く見せている。だから、中盤以降、緊迫感を持って見られたし、特にカタルシスといったものは感じないけど、それなりに楽しんで見られる。こういう平凡な作品でしっかり見せることができるのを見ると、演出に関してもノーランは力があると思う。
そして、注目したくなくてもしてしまうキャスティングだが、ロビン・ウィリアムスが意外にも良かった。イメージ違いと思っていた悪役も、実際はしっかりはまっていた。サイコ殺人鬼のような悪役なら失敗だっただろうが、知能犯的な役柄だったのが成功だった。最近、目立たなかった彼だが汚名返上。彼の登場から映画自体も盛り上がったと思う。アル・パチーノも弱っている感じを良く表していたと思うが、ヒラリー・スワンクは彼女が演じなくても良いと思った。
話の内容は、悪徳警官と殺人犯の頭脳戦の要素が強くて、そこが面白かった。ただ、前半は雰囲気も暗く、展開がなかなか進まないので眠くなったが・・・。ラストも予定調和すぎて好きではないが、ハリウッドっぽい感じだな、で割り切った。端から『フォロウィング』や『メメント』を期待してはいけない作品だ。普通のサスペンスだと思って見た方が良い。今回は手堅い演出力を披露したクリストファー・ノーラン。次回はオリジナル脚本で個性ある作品を期待したい。
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