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[コメント] チョコレート(2001/米)

鬱屈し、疲弊し、只淡々と厭世的に生きていくハンク、 彼の望む渇望は、愛されたいと言うよりも、只々愛したいと言う感情。
あき♪

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







彼にとって父親はとてもじゃないが、愛せる存在では無く、 息子は仕事での失敗もあり失意の内に死んでしまう。

こうなると彼には何も無い、 彼に培われたモノは只その父親から小言の様に言い聞かせられた、 自分の気に入らないものに対する、他律的な只の選別意識。

だから、自分を愛してくれる、自分がレティシアを愛せると言う 、自分の感情を自分で見つけるやいなや、 それを貪る様に抱き、その感情が褥を濡らす。 ついでに言えば、店の名前は自分の彼女の名前付けるし、車の中でかける音楽はいつのまにか黒人音楽になっている。(・・・ホント、徹底的だなこの人)

レティシアは多少違う、愛されたい人間であったはずだ。

最もそれが表れているのは、ハンクの父親に差別された事で、 ハンクもその同類だと見なし、それで自分の気持ちにケリをつけようとした所。 逃げたのだ、自分がハンクからも否定されてしまう事に対して、怒りでそれを隠す様に。

そしてラスト、レティシアはハンクが刑務所の看守だったと言う事を知る事で、 絶望もするが、その後ハンクの事を「愛したい」と思っていった様にも思う。

何故なら、只々生きていく、 そのまま厭世的であるよりも、多少の変化を望んだのだ、 たぶんそれは運命と言う甘美な響きに酔いしれるのにも近い単純な思考であったの かも知れない。

生きていくとは、只そんな単純な感情や思い込みで、幸福でも不幸でも望めるのだ。

この後、二人が解放に向かって生きていったかは分からないが、只それを始める為の出発点には立っていったと思う。

(評価:★4)

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