[コメント] アバウト・ア・ボーイ(2002/英=米=仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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あの、中身からっぽ口先だけの男が自分の身を挺して、マーカスを公開処刑の場から救い出すまでの奇跡の物語。 母親に希望を与えたい一心で、恥をかく事をいとわず、その愛情だけに動かされてダサイ歌(でも良い歌だ!)をみんなの前で歌って見せる、マーカスのその子供らしい一途な想いに心を打たれた。
たとえお母さんの頭のネジがはずれていても、子供は世界で一番お母さんが好き。そんなアタリマエの真実をまた思い出させてもらって、なんだか胸を打たれた。
この「愛する人に自分の身を捧げる」(愛する人に生きる希望を与えられるのならば、たとえ公の場で恥をかいても構わない)というもっとも崇高な人間の行為を、やり遂げさせるこの映画の「大人っぷり」に素直に感動した。
格好つけなくてもいい。格好悪くても、恥をかいても、それでもお母さんが笑って、生きる希望を抱いてくれるのなら・・・というマーカスの勇気ある行動に、賛同する事によって(あげくはギター弾きながら要求されてもいないアンコールに応える事によって)大衆の攻撃(?)を一身に受けて立つ事になったウィル。やっと大人になれた。
「自分のためではなく誰かのために生きる事」の楽しさって実は人生にあると思う。 自分のためだけではなく、子供のため、愛する人のため。 自分のためだけに生きて、自分が気持ちの良い事だけをやる人生も「あり」だが、あまりにも寂しすぎる。 自分の王国に君臨する孤独な王様。永遠の子供。 「それでもいいやい!」と言いきるお方の人生を否定はしないが、私はもう、人を愛する事を、自分の愛情や人生を捧げる事を、誰かのために生きる事を知ってしまった。
コレがまたなんともまあ、気持ちが良くて温かくて、充実した、満たされた生き方なのである(うふ)
タマに「無理矢理に大人になんかならなくてもいいじゃん?」と公言してはばからない顔中シワだらけの中年男女を見かける事が有る(大抵の場合独身) 自由で思うままでセルフィッシュで優雅な暮らしぶりは、時に羨ましくも思えたりするが、コレが結構、実を言うと気味が悪い(だって、「40代の少年少女」ってさー。なんか間違っている)
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