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[コメント] 戦場のピアニスト(2002/英=独=仏=ポーランド)

ピアニストという言葉の響きの不思議さ。
ぴよっちょ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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本や白黒のドキュメンタリーで見たことがあるが、 実際のゲットーの雰囲気や、だんだん規制が加えられ 追い詰められていく状況がはじめて臨場感を持って理解できた。 それはカメラワークの多くがシュピルマンの視点で捕らえられているからだろう。 向かいアパートの一家がドイツ兵に踏み込まれる時、 常に視点はシュピルマンのそれであり、まるでそこにいるような錯覚を持つ。そしてただ見ることしかできない無力さを感じるのだ。

ただ、『シンドラーのリスト』を実際にシンドラーに救われたとされるユダヤ人が観た時、「よく出来ているが、この映画には臭いがない」と言っていたし、もちろん臭いだけでなく、第三者が本当に当時の状況を体感することは絶対にできないだろう。 今、当時を振り返ってみれば、家や家具や職や育った土地に執着せず、早々にイスラエルやアメリカに逃げれば命は助かったということが分かる。 しかし、ナチのユダヤ人への締め付けは、最初はちょっとしたことであった。徐々に、行動の規制をされ、徐々に財産を失うようにする。 本当に逃げられないと思った時にはもう国外逃亡はできない状況だった。

家族を失い、好感を持っていた女性はすでに結婚し、 愛するものを失ったが、ピアノだけは残った。 ピアニストという言葉の響きの不思議さ。 ユダヤ人でもなくドイツ人でもなく、ピアニスト。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] グラント・リー・バッファロー[*]

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