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[コメント] サイン(2002/米)

M・シャマランの質が『シックス・センス』に比べてだんだんと減ってきた という論には失笑。「やられた!」「だまされた!」と言いたいだけなら、人物描写 が薄っぺらな叙述ミステリーでも読んで満足してるといい。
あまでうす

シックス・センス』の時から言っているように、この監督の持ち味は、恐怖 や謎で観客を酔わせつつ、とっても大切なものを静かに伝えてくれるトコにあります。

シックス・センス』を見て「怖かった〜!」「騙された〜!」を連発して、 『アンブレイカブル』を「つまんない...」「騙された...(別の意味で)」と こき下ろす人々を、私は悲しい気持ちで眺めていました。

この『サイン』で見るべきなのは、宇宙人の姿でも、ヒッチコックを意識したという カメラアングルでもなく、最後のメル・ギブソンの晴れ晴れとした迷いのない 表情なんです。みんな、宣伝に惑わされすぎ。なにが、"ヒッチコックの再来"だ、 "いちつもの謎がちりばめられている"だ。そんなものばっか注目してるから、 素直に感動出来ないんです。

ハーレイ・ジョエル・オスメントの悲しげな顔に涙した日が忘れられません。 安易に涙を誘うBGMが一切排除された、静かなラストシーンが心に残っています。 サミュエル・ジャクソンの、なにもかも達観してしまったような目も良かった。 アメコミ・マニアにしかわからない深い解釈なんて、クソくらえです。

映画にまつわる批評が、どんどんマニアックに、頭でっかちに、複雑に なっていくように想います。 深い演技や、名ゼリフに素直に感動した!なんて、声を大にして言える日々は、 もう遠くに過ぎ去ってしまったかのようです。テクニックやら、新技術やらの、 わかりやすい"すごさ"ばかりが宣伝され、わかりにくい"深み"が無視されている ように思えます。

どうか、もう一度、映画をよく味わってください。

(評価:★5)

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