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[コメント] ユリシーズの瞳(1995/仏=伊=ギリシャ)

やっぱり面白い!『狩人』とか『エレニの旅』といった神がかった作品に比べると、鈍重過ぎるかな、と思える部分もあるのだが、しかし、殆どのカットで驚きに満ちている。
ゑぎ

 アメリカの映画監督であるハーヴェイ・カイテルが、1905年にバルカン半島で撮影された、いまだ現像されていないフィルムを探す旅。これも、アンゲロプロスによる『市民ケーン』のような映画だ。ルーマニアの女優マヤ・モルゲンステルンが4役を演じ、行く先々で、カイテルに絡む。いきなりの抱擁や激しいキスには驚かされるのだが、このあたりは、演劇的志向というよりも、茶目っ気(サービス精神というか)と受け取る。それに近い意味で、ドナウ川を船で運ばれる巨大なレーニン像や、紛争最中のサラエボでのロケなんかも、プロット展開からの要請などではなく、あくまでも、強い画面を繋ぎあわせることに純化した、極めて映画的な要請からきているのだと思う。それにしても、ラストシークエンスの霧の世界!この画面には圧倒される。モルゲンステルンとのダンス!霧の中、オフ画面で演出される、エルランド・ヨセフソンやモルゲンステルンの顛末。

#セルビアのベオグラードで友人と夜、街を歩きながら、ムルナウ、オーソン・ウェルズ、エイゼンシュタインなどの名前が出る。

#ヨセフソンの居所のラボのシーン。科白で『国民の創生』『フォルスタッフ』『ペルソナ』。また『ナイアガラ』のポスターが貼ってある。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)緑雨[*]

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