[コメント] 踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!(2003/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
本作は人気テレビシリーズの映画化2作目で、邦画においてなんと1983年の『南極物語』以来破られることの無かった実写での興行成績記録(110億円)をとうとう抜き、さらに記録を更新中という華々しい記録を持った作品である(ちなみに邦画の興行成績のトップは実写ではなく『千と千尋の神隠し』(2001)で304億円、2位が『もののけ姫』(1997)の193億円)。
はっきり言ってその記録を見るまで、これはテレビでいいや。と思っていたのだが…やっぱ流行に弱いのか?私は(笑)
で、出来について書かせてもらうが、とても悔しくなった。いや、ほんとに。
それで、のっけからキレさせてもらう。
なんじゃこの馬鹿げた作品は!
こんなに金かけて、カメラ・ワークと言い、演出と言いテレビドラマそのまんまじゃねえかよ。カメラで面白かったのはオープニングとエンディング、それに冒頭の船のシーンくらい。肝心の劇中はまさにテレビと同じ手法でしか使われてない(精々レールを用いたカメラ・ワーク程度しか見るべきところ無し)。一作目の『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998)ではカメラ・ワークの面白さで感心するところがいくつもあったのだが、本作にはそれが全くない。
カメラが馬鹿なら設定も馬鹿。リーダーがない組織を「素晴らしい」と言われた時には頭がくらっとするくらいだったし(何のために組織というのがあるのかと言う観点が全く抜けてる。組織は官僚機構と言う弊害を持つにせよ、最も効率を良くしようとした結果できるんだ)、拳銃振り回してる犯人を武装警官が囲んでおきながらみすみす逃がしてるとか(大体所轄の警官に「拳銃を携行するな」と厳命しておいて特殊部隊を配置するという矛盾に気付かんのか?)、監視システムを署内にばらしまくってるとか。それに現場を無視する女性本部長の横暴さも、ここまでくるといっそ立派なほどのステロタイプ。犯人とっつかまえるために東京の一区画を封鎖するなんぞ恐ろしく馬鹿げたことを平気でやってくれるほどの阿呆ぶり。本部長が室井に移った途端、あっという間に事件が解決するって言う演出も単純この上なし。他にも食べ物を食べる姿にリアリティが欠如してるとか(これ、私にとってはとっても大切なことなんよ)、これ見よがえしに某清涼飲料メーカーや某コンピュータ検索会社のロゴが踊ってたりとかもあり。
もうざくざくこの辺は出てきてしまうが、あんまりやってるとあら探しが嫌みになりすぎるのでもう一つだけ。
すみれ(真矢みき)が撃たれた時、青島に「私から弾抜いてあいつに撃ち込んで」と言ってたけど、撃たれたシーン観る限り、弾は貫通してるから身体に残ってるはずないんだが…
これはもう、馬鹿も馬鹿。泣きたくなるくらいの出来だ。
ところが、本作を観ていて悔しい思いをしたのはそんな点じゃなかった。
ここまで馬鹿やっていて、なおかつそれが分かっていて、観ている間、楽しかったと言う事実。
劇場映画を観ていてそれが面白いかくだらないか時計を見る時間で大体決める傾向があるが(ちなみに『マトリックス リローデット』(2003)では40分弱。非常に買っている『パイレーツ・オブ・カリビアン』(2003)でさえ1時間15分程度)、本作で時計を見たのはなんと1時間半を過ぎていた。終わり近い。
マジで信じられなかった。こんな時間が経っていたなんて!馬鹿としか思えないこの作品を、何故こんなに飽きないでいられる?どうかしたのか俺?これだけ時間を気にしないなんて、よほどの良質作品でなければならないはずなんだぞ。
…思った以上に私はテレビの演出に毒されていたのか?それとも未知の何かの要素によって、引き込まれていたのか?正直、なぜあんなに引き込まれていたのか、理由が分からない。書いてる内に何か分かってくるかと思って敢えて即レビューをしてみたんだが…やっぱり分からないよお。
それがとてつもなく悔しい。
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