[コメント] 天使の涙(1995/香港)
魅力的な映画
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ウォン・カーウァイ作品の中で『天使の涙』は、カーウァイと金城の知名度を上げた『恋する惑星』より(何故か)人気と評価が低く、次作の『ブエノスアイレス』ほど完成度高くなく、両作品に挟まれて中途半端な位置づけをされてしまいがち。だが、この作品が私は一番好きだ。
二つのストーリーが同時進行し、独特のスタイリッシュな映像で、5人の男女の出会いと別れを描く。毎日大勢の人間とすれ違い、温もりを求め合いながらも埋めようのない孤独感を抱える登場人物たちは、みんなどこか滑稽なんだけど愛おしい存在。香港の猥雑な雰囲気がまた良い。何度見ても切ない余韻に浸れる。
超広角レンズを多用したクリストファー・ドイルのカメラワークは好みの分かれるところだろうが、俳優の顔や体が歪んで見えるのが不安定な心理を巧みに表現しているだろう。物語は夜か暗い室内の場面ばかりで、陰鬱な印象になりそうなところに、金城のコミカルな演技が映画に笑いと明るさをプラスしている。モウの初恋やモウと父親とのエピソードも心に染みるが、クールな殺し屋レオン・ライが最高!彼を愛する女たちのエキセントリックさも、台詞、背景、小道具、どれもが魅力的な映画だ。
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