医療制度の矛盾を告発するのか、親子の絆を描くのか、極限状況での人間ドラマなのか。中途半端にテンコ盛りでしかも予定調和。

事故シーンの入れ方はうまくてストーリーの流れに直接絡まず不穏な空気が流れる。中盤までは展開がどんどん変わっていくし飽きずに見せるのだがどうもおもしろくない。

ベタベタなハリウッドの典型パターンにも見えるのだが、ヤな女の病院長の心変わりや同じく金と権威の象徴ぽかったジェームス・ウッズも味方になっちゃうとこはやや変わっている。但しそのあたりが唐突だし、四面楚歌だったジョンＱにどんどん援軍がついちゃうとこが甘い。

たぶん僕は「狼たちの午後」あたりをイメージして、救いのないラストを期待していたのだと思う。なのに包囲された篭城もうまく切り抜けて、おまけにぬるま湯な裁判シーンまでつけてくれちゃったので全然物足りなかった。深刻な問題を提示しておきながらエンターテインメントに落とし込まれた展開についていけなかったのかも。

親子の絆に感動する人も多いと思うが、僕はそういう見方だったのでつまらなかった。ニック・カサベテスって息子さんですか？メジャーとインディの合わさったようなどっちつかずな演出でございました。