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[コメント] HERO(2002/中国=香港)

主役は踊り揺らめく色彩。もはや俳優は一小道具と化す。この映画の功労者はクリストファー・ドイルとワダ・エミ。2003.8.5
鵜 白 舞

実を言うとジェット・リーのアクションを期待していたので、ちょっと寂しかった。もしこの映画で彼のアクションを初めて見て「なんて美しいんだ」と感動する人がいたら、是非『少林寺』シリーズを観てください。こんなの目じゃないよ。

ジェット・リーの一ファンとして色々言いたい。まずもっと動き回る彼が観たかった。ドニ−と闘うシーンなんてあと5分は観せてくれてもいいんじゃないかと思う。二人の対決中CG入れたり動きを止めたりと映像にこだわりを見せていたが、少しも良いとは思わなかった。むしろ迫力も美しさも半減して不快だった。大画面にあの二人を映し出すだけで十二分に絵になるというのに。武侠映画を撮る気なら、もっとアクションに敬意を払って欲しい。

最強の武術家がトニー・レオンというのもおかしな話だ。トニーがいくら動けると言っても、冒頭でジェット・リーとドニ−・イェンを見させられたら流石に見劣りする。ただ彼は表情の演技が上手い。短い映画で台詞も少ないが表情で感情を見せてくれた。女優二人も同じく。その点ジェット・リーとドニー・イェンは明らかに不味い。にも関わらずリーの顔のアップを多く撮るとういうのはどうなのだろう。俳優の持ち味が生かせ切れていないんじゃないですか、監督。

愚痴はいくらでも並べられるが、何だかんだでこの映画が好きだ。それは幻想的なシーンがたくさんあったから。女優さんたちが綺麗だったから。そしてそこには必ず中国の美しさがあった。中国にしかない美しい景色や、風にたなびく優雅な中国服や、武術や、書道や。監督はこの映画を通して、自国独特の素晴らしさを艶やかな色彩の映像にまとめ、留めておこうとしたんじゃないだろうか。私はそう受け止めた。

だから最後にもう一つだけ愚痴を。99分は短すぎです。登場人物の掘り下げもこんなに短くては今ひとつだし、何よりもっと各々のシーンを長く観ていたい。

(評価:★4)

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