[コメント] 阿修羅のごとく(2003/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
昨年(2009年)に東京へ来た阿修羅のことを思い出しながら、この映画を観ました。
大勢いる戦いの神の中でも突出した存在だった阿修羅。それはこの映画の冒頭にも出てきますが、戦いの神そのもの。悪口雑言を浴びせ、とことん戦う神だったんだそうですね。
でも阿修羅は結局、弥勒に諭されて、解脱。そしてさとりを開いて修行の道を進んだと何かに書いてありました。(間違いだったらゴメンナサイ。記憶だけで書いていますので・・・)
で、この映画では阿修羅が大勢出てきますよね。本来阿修羅は1人です。でもこの映画ではことあるごとに戦いを挑もうとする阿修羅が大勢いて、これは阿修羅というより、当時どこにでもいた戦いの神なんですよね。だから「誰が阿修羅だかわからないのです。」
しかしながら、弥勒の存在はわかります。
母親の八千草薫さん?
いえいえ、この映画の場合は仲代達矢さんでしょうね。
父親の仲代達矢の浮気がきっかけで、姉妹及びこの姉妹に付随する人々(夫、子供)が複雑な関係の中で罵り合いますが、そのきっかけであった父親が、実は全体を俯瞰で見守る神(弥勒)だったのだ、というオチのような気がするのですが間違っていますでしょうか。
所詮、戦いは怒りと怒りのぶつかり合いですね。その怒りを極力抑えている神のような存在が、この物語でひんしゅくを買って、お話を面白くしている張本人だった、ということでしょうね。
さて最後に、最も印象に残ったことを申しますと、やはり桃井かおりさんの玄関先のワンシーンです。笑顔、悲しみ、怒り、甘え、冷徹などなどが"一瞬”で表現されるすごい表情がありました。これは歯軋りするほど感動です。
恐ろしくて面白い映画だったと思いました。
2010/02/22 自宅
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