[コメント] 死ぬまでにしたい10のこと(2003/カナダ=スペイン)
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癌を宣告された、二人の子供と夫を持つ若い女性の残りの人生をドキュメンタリー・タッチで描いた映画。
アン役のサラ・ポーリーの演技はうまい。元々、影のあるやつれた感じの顔で配役自体もはまっていることもあるが、病気のために本当は嬉しいことでも無理にしか笑顔を作れず、終盤になってくると、それすらも出来なくなり、辛そうな表情を必至に表に出すまいと無表情にしているところなど表情演技は素直に心に伝わってくる。
ストーリー的には、日常を淡々とリアルに描いている割には起きてることに偶然性が強すぎる気がする。余命2、3ヶ月で自分がしたいことを決めた時に自分のことを真剣に思ってくれる素朴で優しい男性と知り合えたり、家族のことを託せる若くて親切な女性が隣家に引っ越してきたりと、都合がよすぎ。また、いくら本人が嘘を突き続けているとはいえ、アンの容態が次第に弱くなっていっているのに重病だと疑わない夫も不自然。特に隣家に引っ越してきたアンは看護婦なのだから、もっと早く気づいてもいいはずなのだが。
とはいえ、この作品でのアンが残りの人生で実行しようと決めた同世代の女性と同じファッション、ロマンチックな男性との恋、母としての幸せ、娘としての幸せ、妻としての幸せを全て味わいたいという願望は、女性が長い人生の中で求める願望であり、それをリアリズムを無視して短期間で何の障害もなく全て実現させてしまったところにやや映画としての面白味が欠けてしまうのだが、観客にうまく伝えられていると思う。
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