[コメント] バトル・ロワイアルII 鎮魂歌〈レクイエム〉(2003/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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2年程前、国会でも取り上げられた程、問題作と言われたBR1は、個人的には、メッセージ色の強い強烈な問題作といよりも、斬新なアクション映画という印象の方が強かった。
BR1は、極限状態に置かれ、徐々に残虐性を増していく少年少女を通して、非行、友情、愛、死、命、・・・といったことを真剣に考えるべき映画だったのかもしれないが、私個人は、そのような問題は殆ど頭にも過ぎらなかった。それよりも、ある種現実離れした世界において、ロールプレイングゲームの様な感覚で、テンポ良く展開する戦闘シーンの目新しさに感銘を受け、そこに面白さを感じたのである(このような観方が、良いか悪いかは別にして)。逆に言えば、説教臭い余計なメッセージが無い分、アクションシーンを単純に楽しめたともいえる。
BR1のコメントでも書いたが、この感覚はどちらかと言えば、『蝿の王』の様なメッセージ色の強い問題作よりも、『ダイ・ハード』の様なアクション映画を観終わったときの感覚に近い。
さて、BR2である。前述の様に、BR1のアクションが非常に面白かったため、私はBR2にも同じような期待をしていた。しかし、期待は見事に裏切られた。
製作者サイドは、BR1の反省からか、BR2はもっとメッセージ色の強い作品に仕上げようとしたのかもしれない。そのため、テロや反米論といった問題を映画の中に持ち込んでいるが、結局は消化不良に終わっている。しかも、そのお陰で、BR1で面白かったアクションシーンは、無駄な台詞が多く、見せ場を作れない中途半端な仕上がりになってしまっている。ストーリーに関しては、もうボロボロで言葉も出ない。ともかく、何から何まで無茶苦茶で、驚くような展開ばかりだった。この映画は本当に脚本があったのだろうか?
さらに酷いと思ったのは、どいつもこいつも死に際で喋り過ぎなこと。全くリアリティが無い。明らかに即死と思えるようなシーンで、どうしてあんなに沢山の言葉を話せるのか? しかも都合が良いことに、必ず敵の銃声が止む。役者の演技も下手だし、あの様につまらないシーンで、アクションを細切れにしてしまうと、正直イライラする。BR1で面白かったアクションシーンは、説教臭いメッセージと下手クソな演出のお陰で、すっかりつまらないものになってしまった。
そんな中、唯一、BR1同様のゲーム的な面白さを感じたのは、作り過ぎの竹内力の演技。BR1でルールを説明していたお姉さんやキタノ同様、現実離れしたキャラクターという意味でなかなか良かった(どうせなら、大阪弁でやって欲しかった)。
深作欣二監督の追悼作品という話題ばかりが先行した本作だが、その遺志を受け継いだ深作健太監督の才能というのは、正直言って良く分からなかった。ただ、最近のハリウッド映画では余り感じることのできない荒削りなパワーや勢いの様なものを感じさせてくれたというのは事実だ。
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