そこに映しだされたのは、少年のトトが求め、社会的には成功し金も名も手にした今のトトが失ってきたもの。そして才能を見抜き鬼面をもって村への未練を断ち切らせ、ローマへと送りだした映写技師アルフレードがずっと胸の内に隠してきて、最期にトトに見せた愛情の深さだった。トトと一緒に人生を生き、トルナトーレ（作品中ではラスト、若い映写技師として登場）から一本のフィルムを手渡された僕の胸にもこれまでの人生がフラッシュバックし、熱い想いが溢れるのを止めることは出来なかった。