体温が異常に低い。

　直前に観た映画が『寅さん』だったから、とりわけそう思ったのかもしれないが。

　アニメでしか描けない表現、アニメでこそ描ける表現というものがあり、そしてそれらは確実にこの人間社会に存在する／しうるものなので表現する意味があるわけだが、この異様な低温さを、人を殺すために空を飛び交う奴らへ託してしまうあたりに、日本アニメ界独特の幼児性を見てしまう。この映画を創るための情熱だって、もう少し熱いものなんじゃないだろうか。

　一方でこういうものを受け入れる下地が世の中にはあり、それはわれわれ社会に潜む幼児性を表わしてもいるので、描く必然性がないとは言えない。

　だが、動かないときは１ｍｍも微動だにもせず、肩を叩かれたりすると突然もそもそと動き出す、こののっぺりつるりとしたキャラクターたちに、気色の悪さを感じるのも事実だ。

　これなら『ポニョ』を観に行っとけばよかった。

60／100（08/08/23見)