[コメント] 息もできない(2008/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
この映画の何が俺を白けさせるのか、と思うよね。もちろん冒頭から「はい。これは手持ちカメラですよ」ということをアピールせんが為のあえてブレブレな映像からして嫌らしいわけだが(それ以前に気持ちが悪くなるし)。
確かにそういう描写の中にも、女性や子供に対しては暴力の度合いを手加減している、ということはわかるし、それによってキャラクターを描こうとしている、ということは伝わる。しかしそんな物は1回か2回描けば十分だろう。そういう意味でまったく不要だと思うのは、フラッシュバックのシーン全てだね。子供の頃、父親が、母親に対して、手酷い暴力を振るっている光景を目にした。そんなシーンを用いなければキャラクターが描けないんだろうか。馬鹿馬鹿しったらありゃしない。勘弁してくれよ。こんな風に見える奴でも、実は普通の子供と大差ない子供時代をすごしてました、その中に、ちょっと他とは違うきっかけが、てな感じで描くなら意味があると思うんだよ。だがこれじゃ明らかに異常家庭だよ。異常家庭に育ったから、こういう人格になりましたと、描いたのでは、普遍性を持ち得ない。ああ、こいつは、よっぽど過酷な家庭環境に生まれ育ったんだろうな、ということを、観客に想像させるように描かなければ駄目だ。この人たちは、なんて可哀想な家庭環境に育ったんだろう、みたいな、上から目線で同情するような立場にも、絶対立ちたくないしね。
もしかしたら、韓国では、こういう家庭環境もわりと普遍的なものなのかもしれないね。男のくせに、女の前で、声をあげてなく奴なんて、日本男児の俺にはちょっと想像つかないし。情けないったりゃありゃしない。
漢江べりの邂逅シーンは、ある意味互いに互いを理想的に誤解したまま、でも魂の深奥には触れ合っているてな感じがあって、このシーンだけは≪漢江の奇跡≫と、呼んであげてもいいような気はしたけれども。
65/100(11/02/20見)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。