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[コメント] マルコヴィッチの穴(1999/米)

哲学的映画???
ちわわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







わりと哲学的に考えてるひとがおおいけれども、たんにSFなのだから、それほど深く考える必要はないとおもいます。といいつつ考えてみるのですが。

他者に入り込む、というのはそういう設定であって、仕掛けです。 もちろん、ここで常識で考えると、いろいろやっかいな問題がおこるのだけれども、それに眼をつぶることで、ストーリーは展開します。 僕がたとえば犬になろうとして、犬のなかにはいっても、すでに脳は犬だから、なんの変哲もない犬一匹がいるだけです。それは相手が人間でもおなじこと。だけれども、そんな話はここでは一切関係なし。設定が、つじつまがあわないところは、いくらでもあるけど、それは眼をつぶるべきところ。

例えばマルコヴィッチ自身が 頭の中に入って、無数のいろんなマルコヴィッチに会うでしょう。あれは、自己の複数性を考えてしまう。多重人格とかね。

それに他の人間が乗り移って生きているっというのは、ある程度現実的問題ですね。遺伝子レベルの話で考える手もあるけど、そういうのでなくとも、日常生活でも他人との関係のうちで、自己はつくられるのだから。 結末なんかは、そういった観点で考えるとおもしろいとおもうけれども。

もちろんこんなことも、映画の内容に関係はないのです。というのも、そういった点はこの映画でつっこんでいないのだから。たぶん意図的に。

奇想天外な設定をあえて映像化するおもしろさは感じました。ただし、それが映画的感動となり得ているかどうかは、少し疑問です。奇抜であっても、新しさはさほど感じませんでした。すぐれたブラックなエンターテイメントではあるのですが。

(点数はひとつ落とします。見終えてすこしたつと、評価がかわることがおおいです。この作品、僕にはさほどオリジナリティが感じられないのですよ。嫌う気はないけれど。それと・・・奇想天外さは、哲学じゃないですよ。哲学はあたりまえのことに、一生なやみつづける作業でないかな。たとえば、「時間とは何?」「私って言葉を普段つかうけど、じゃあ私って何のこと?」「考えるって何?」とか、その方法論はひとそれぞれ違うけど。そういう問いに悩まざるをえない人とそうじゃないひとがいる、てこと。するとこの映画、哲学的問題を提示する、とすればあまりに幼稚です。)

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ロープブレーク[*]

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