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[コメント] ボウリング・フォー・コロンバイン(2002/カナダ=米)

事件の真相を追究するものでも、銃社会の文化人類学的考察をするものでもなく、銃や兵器を製造している企業、支援する団体や政府の姿をよりおおっぴらに紹介するために作っているのだから、我田引水でいいんです。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アメリカの銃社会を下支えしている存在が嫌いで、それを攻撃することがはなから目的で、多くの人に賛同してもらうために都合のよい素材を集めて作っているのだから、まず結論ありきの作品だとは思う。アメリカ人が銃を手にするのは、本当はアメリカの「銃もって国を開拓してきた」というパイオニア精神みたいなメンタリティとつながってくるのかもしれないし、「下支えしている側の陰謀で恐怖心を植え付けられているから」という説だって、そういうふうに作品で言ってはいるけど、否定されている家庭崩壊や人種問題、ゲーム・テレビの影響だという説と変わらず、これだって仮説のひとつで、確たる論証がされているわけではないし、私には本当のところはよくわからない。でも、前者の説のような見えざる力のほうはあまり知られていないから、「後者の諸説並みに」大勢の人に知ってもらわないと不公平だと監督が思って作ってたっていいわけだし、それは、物事をいろいろな角度で見るということからいったって大きな意味がある。「あのチャールトン・ヘストンが…ショック…」ということで、既成の価値観が揺らぐってことでいいと思う。この作品に対する反論だってあるだろうし、それが両方読めるような社会ならまだOKでしょう。

とにかく「見えざる力」を敏感に感じ、それに自分が「変だな」と思うことがあれば、そのことについて考えてみることが大事。それを邪魔しようとする力が働いてきたらそれは怪しいぞ、と、疑ってみよう。というのがこの作品のメッセージだと思う。

やっぱり米軍にいてもらわないと「いつ誰かが襲ってくるかわからないし」と思ったり、何百人もの死傷者がでた人身事故を起こした会社の社員が、事故の後「ボウリングを2ゲームもやったのかい!?」なんていう、私の国や周りにも見えざる力があるわけだし。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)町田[*]

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