ハメたんじゃなくて、ハメられまくってボロ雑巾のように捨てられたんだよね。

元より曰く付きの作品であり、現地での公開予定も遅れていたがトムが出ているというだけで日本公開もほぼタイムラグ無し。見所としては「トムが飛行機を操縦する」ということと「トムがエキセントリックに大金を稼ぐ」くらいに設定しているのだろうが、確かに前者はやはり絵になるなと。でも実際は全編で繰り広げられるブラックな笑いの陰で何が行われていたのかということだろう。

火種と火消しというのはCIAのお家芸なのだろうが、つまるところ紛争を繰り返しながら国内の軍事産業を回していくということか。ベトナムが終わった後も各地でちょっかいを出しては火種を作り、それが燃え広がったところで火消しに回ることでかの国は成り立っている。その副作用で現状の国内外の諸問題があるのだということをこのように提示するというのは面白い。しかし自分たちにはわかる描写だが、日本人のアラサー以下でレーガンやブッシュ親子のところで笑えるのだろうか。

トムはもう名人芸とも言える立ち居振る舞いで今更文句の付けようも無い。ヒロイックな役が多いが、今作では終盤に欠けての主人公の悲しさをうまく表現していたし、それができる年になったということなんだなと感じた。早く元気になってもっと多くの作品に出続けてほしい。いっぱいケツ出して、いい女とガンガンやりまくってくれ。