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[コメント] オードリー・ヘプバーンのモンテカルロへ行こう(1951/仏)

この作品のストーリーで優れているのは、話が進むに連れて赤ちゃんを取り巻く人々の事態がどんどん悪化していくところ。
わっこ

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赤ちゃんをめぐって繰り広げられるドタバタコメディ。

この作品のストーリーで優れているのは、最初のベビーシッターのマリネットが旅行中の親の代わりに祖父であるマックスに赤ちゃんを預けるが、実は間違って女優メリッサの赤ちゃんを渡していたことから始まり、自分の孫だと思い込んでいるマックスが赤ちゃんが自分の子だとばれないように捨て子を装ってツアーに連れて行くが、成り行きで楽団ぐるみで赤ちゃんを育てることになるところなど話が進むにつれ事態がどんどん悪化し、赤ちゃんを取り巻く人々が焦っていくところ。下手したら登場人物たちの思惑や目的すらややこしくなるかもしれないストーリー展開をここまでわかりやすく、そして面白くテンポよく描いたところは見事と言う他ない。

基本的には赤ちゃんに関わる様々な人々のエピソードが錯綜する展開なので特に軸になる人物はそれほどなく、話も少々散漫とした印象もあるがそれほど問題ない。しいて言えば赤ちゃんを間違えて預けてしまったマリネットに焦点をあてて描けばもっと話も引き締まったとは思うが。

役者に関しては無名時代のオードリー・ヘップバーンが見れるという点でも結構見どころだが、その後の彼女の役柄にはあまりない向こうっ気強い性格のキャラを演じているところも興味深い。終盤、五重奏で他の演奏を全てカバーするアントワーヌ役アンリ・ジュネの一人芸はなかなか面白かった。

難点としては、終盤にジャクリーヌが結婚するために赤ちゃんを利用して嘘をついていた告白し、マリネットも自分の子ではないと告白し、マックスも自分の孫でないことがわかったことで、赤ちゃんが誰の子なのかという部分に観点があてられるが、観ている側が赤ちゃんが誰の子なのかは既にわかっているため、その後ミュージカル形式で赤ちゃんの親を探しているという宣伝をするシーンを見せられても無駄に映像を垂れ流しただけの印象になってしまい、それまで軽快だったストーリー展開が終盤になるにつれてどんどんテンポが悪くなってしまっているところ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)山本美容室[*]

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