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[コメント] マルティナは海(2001/スペイン)

前半の2人の純愛は幻想的で素晴らしい。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







地中海を舞台に教師の男のカフェで働く女性の愛の悲劇を描いた映画。

前半は主人公である教師ウリセスとカフェで働く女性マルティナの純愛を描いた話で、後半は不倫劇といった感じ。前半の2人の恋愛は本当にお互いに引かれあっているという感じが伝わってきてよい。特にウリセスがマルティナに、本の一説を利用して求愛するところは幻想的で素晴らしい。ウリセスがパーティで他の女性に目を奪われてもマルティナが一途にウリセスのことを思い続けているところよかった。

ただ、中盤からの展開は町の有力者シエラと結婚したマルティナと死んだ思われていたウリセスとの不倫劇になるのだが、この不倫劇が実に理不尽。ウリセスが失踪した理由が、事故にあった日にたまたま通りがかった船にパーティで知り合った女性が乗っていたために、その女性と一緒にいる内に自分の船が流されて、帰れなくなったとウリセスは言っているが、これは浮気なわけで、マルティナに連絡を取る術があったのにも関わらず、わざわざ何年も連絡をせずに自分はその女性と浮気をしておいて、後になって夫のいるマルティナに電話をかけて、またマルティナと一緒にいたいと言うウリセスはなんて図々しい奴なんだ感じた。しかも、マルティナが夫にばれないように使われていないマンションにウリセスを匿ってあげているのに、狭いところに閉じ込められるのはごめんだと指図するし、せっかく彼のために苦労しているマルティナが気の毒に思えてしまう。

マルティナにしてもウリセスが失踪してから、シエラと結婚するまでにウリセスのことで心の葛藤が描かれていないのも不満だし、ウリセスとの間に生まれた子供アベルに対し他人行儀に見ている感じで、最後にウリセスと一緒に駆け落ちする時にもアベルのことをあまり気にとめている様子がないのも気になった。

ラストでの悲劇も夫のいるマルティナにわざわざ復縁して欲しいと言い寄ったウリセスの図々しい行動や息子のアベルに対してウリセスとの間に唯一生まれた子供にも関わらずほとんど気にとめている様子のなかったマルティナの行動を見ていると、自業自得のような気がしてならない。

とはいえ、せっかく前半で2人の純愛を丁寧に描いていただけに、後半の強引なストーリー展開と前半とは全然違う2人のキャラ設定は映画的な面白味をかなり減少させてしまった。

役者としてはマルティナ役レオノール・ワトリングは初々しいし、スタイルもよく、キュートでなかなかかわいい。ウリセス役ジョルディ・モリャは前半の素朴な青年ぶりがよかっただけに後半のキャラ変更はかなり残念だった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)トシ[*] RED DANCER[*] ころ阿弥[*]

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