三角関係のアクション愛憎劇｡

ワイヤーアクションとＣＧ合成とスローモーションを多用した剣術アクションは『ＨＥＲＯ』より独自性が強くなり､見応えがあるものになった｡ただ､スローモーションの多様は確かに構図的には見やすいが､スピード感とテンポを奪ってしまっている｡また､デフォルメしすぎな演出も戦闘にリアリティを失わせる一因となっている｡正直､笑わせるために作ってしまっているようにしか見えない｡

それと､ドラマ部分においても､金と小妹､劉と小妹と抱き合いキスしようとするシーンが何度もあるが､どれも同じ演出､同じスチュエーションであるため､盛り上がらず､恋愛ドラマとしては退屈な要因となっている｡

ストーリー的に見ても､飛刀門の計画は逃走した小妹を餌に追ってくる朝廷兵を抹殺するものだが､劉も小妹も牡丹坊の女将も全員グルなら､前半の踊りを交えた長い小妹捕縛までのシーンはいらないだろうという感じ｡

役者としては小妹役のチャン･ツィイーのアクションの頑張りにはいつも感服させられるが､役柄が固定されつつあるので､演技には定評があるだけにそろそろアクションから離れてもいいような気がする｡金役の金城武の演技はともかく､台詞の言い回しはうまい｡

『ＨＥＲＯ』もそうだが､この監督は無駄に長い退屈映画を作るのは本当にうまいと思う｡