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[コメント] キャリー(1976/米)

この映画を楽しむポイントは観ている側がキャリーにどれだけ感情移入できるかで決まると思う。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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超能力少女をからかったために起こる惨劇を描いたサスペンス映画。

無垢で清純な性格で、狂信的なキリスト信者の母親の圧力がなければ普通にかわいい少女だった主人公キャリーの哀れな末路は観てて本当に気の毒に思える。確かにキャリーがかわいそうである。

ストーリー自体はキャリーの起こす惨劇までを淡々と描く展開で、正直それほど魅力的なシナリオとも思えないが、最後の惨劇までの緊迫感の煽り方はなかなかうまい。

この映画を楽しむポイントは観ている側がキャリーにどれだけ感情移入できるかによる思う。個人的には狂信的な母親のせいで常識も満足に知らなかったキャリーが同級生から嫌がらせを受けるところは気の毒だと思うし、プロムパーティで笑い者にされたことへの怒りで超能力を発動してしまうのも納得はできる。

ただこの映画で気になるのは、初めて同級生からプロムに誘われたときにキャリーがドレスの着こなしやメイクに慣れている様子がうかがえること。おめかしに慣れているということは、少なからずファッションに関心があるということになるが、関心があるなら、なぜ高校を卒業するまで反発せずに大人しく母親の言いなりになっていたのかわからない。プロムに誘われた嬉しさから初めて反発したのだろうが、元々結構かわいい顔だしおしゃれに関心があるなら、自分から綺麗になる努力をすれば、ずっと母親の言いなりにもならなかったような気がする。

それとせっかくスーがキャリーへのお詫びにトミーとキャリーをプロムに行かせたのだから、スーにはもう少しキャリーをサポートするような役回りを与えてもよかった気がする。またキャリーがプロムでからかわれた際にトミーはキャリーをフォローしようとしてのだから殺すのはいくらなんでもかわいそうだと思う。

とはいえ、キャリーが超能力を持っていることを恐れて今までずっと母親の言いなりとなり、同級生に近づく勇気が持てなかったという苦労は素直に伝わるし、ラストの惨劇も一応ある程度納得できる理由で引っ張って展開されていて、いたずらをした同級生もきちんと罰を受けるところは好感が持てる。

キャリー役シシー・スペイセクは当時27歳なのに無垢で清純な女子高生を無難に演じているところに感心してしまう。特にプロムクイーンに選ばれた時に泣いている姿はキャリーが本当に喜んでいるという感情が素直に伝わってきてよい。キャリーの母親役パイパー・ローリーの怪演は最初こそはインパクトがあったが、キャリーに殺されるときの演技は少々誇張過ぎる気がする。

(評価:★4)

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