[コメント] 豚の報い(1999/日)
風俗と神話と寓話の混沌。しかしどこか物足りないエスニシティの美学化。
「女」の神秘、「沖縄」の神秘。それらを不在のままに支える「父性」。
物語的に言えばそれは単なる安直なオリエンタリズムの称揚に過ぎない。しかし仮に描かれる物語が思想的に「間違って」いたとしても、それを導いたものが持続する説話の力学がもたらす一つの映画的必然であるならば、「映画的」には是とされてもよいのかも知れない。
しかしながら、本作品における風俗と神話と寓話の混淆、そしてそれらを混沌とした美しさのままにつなぎ止めようとするイメージのあり方に、何かしらの映画的必然を感じ取れなかったのだとすれば、おそらく本作品と僕はうまく出会えなかったのだろう。
ほとんど印象批評に過ぎないが、例えば『いつか誰かが殺される』などの、同監督の過去の沖縄作品に匹敵しうる強度を本作品に感じることはできなかったのは確かだ。
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