[コメント] 緑色の髪の少年(1948/米)
スーパーマンといいバットマンといいスパイダーマンといい、アメリカ映画においては孤児たちが主役となるとき、選ばれた能力をもつ「無徴」の者だけが採り上げられてきた。1948年という時代において、選ばれなかった「有徴」の孤児を採り上げた本作の視点は驚くばかりに独創的だ。
映画の世界においては、本質的に空間と空間の接続のされ方は異様にならざるをえないのだが、本作ではそうした異様さが特にあらわだ。それは、解説のショットやせりふ、スムージングのためのカットつなぎやカーテンショットをあえて排した結果である。そのために写実的な鎌倉期仏像を見た後に鉈でこしらえられた円空仏を見るがごとき荒削りな印象を感じさせてしまう。しかしそのことで拙劣な感じを抱かせることなく、かえって本質を鷲掴みに把握できる監督の高い才能を確信させる。説明だらけの120分超えの映画が見習って欲しいところ。
主題歌"Nature Boy"の哀切さがいつまでも心に残る作品でもある。作曲者もまた孤児であるらしい。この曲はジャズのスタンダードとなり、他の映画作品でも使用され、この映画と独立して生き続けている。
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