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[コメント] ザ・ビーチ(2000/米)

前半、西洋人が見たタイ歓楽地観光案内。米の買出し以降の後半、『シャロウ・グレイブ』並みのスリルがチラリ。
カフカのすあま

全体的にダラダラ。この映画の撮影のせいで、タイの島がひとつ破壊されたという、当時さかんに伝えられた新聞記事も、悪い意味で頭を離れなかった。

バダラメンティの音楽も、前半「いかにも」で、やりすぎではないか、と思ったし、とにかく、プロモビデオのようなノリが嫌だった。でも、ジョン・ホッジの脚本はさすがに光るものがあり、なんとか「米の買出し」までつなくことができた感じ。

彼らが背後に置いてきたはずの、「文化の街」に出てゆく買出し担当者に群がる、「コミュニティ」の住人たち。便利な生活必需品にこそ、忘れられない味がある。

「‘デーリー・テレグラフ’買ってきて」というのがよかった。この一言でプラス1点。この新聞、「トーリー・テレグラフ」というあだ名があるくらい、右寄りというか保守的(「トーリー」はイギリス「保守党」のこと)。だから、この手のリベラルな若者が大手を振ってあからさまにこの新聞を買うのは禁じ手なのである。

若者であっても内面はバリバリ保守的…。若者ならせめて左側に立って理想を語れ!アンチエスタブリッシュメントォォォォォォ!

つまり、彼らの楽園も結局のところ、「すでに持っているものは失いたくない」が「他人に土足で踏み込まれるのには耐えられない」という美しき「ナイーブな感性」(←注:ちっとも誉めていない)があるからこそ成立するものなのだ。

「楽園」なんて、その存在こそが確認不可能なパラレルワールドの中にあればそれでいい。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)m[*] MUCUN[*] kazby[*]

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