コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] さすらいの二人(1975/仏=伊=スペイン)

現実に現実を逃避する現実逃避の可能性。
hk

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







精神的に死んだ男が現実的に死ぬ可能性を手に入れる。それは旅先で出会った死んだ他人と入れ替わることであり、精神的に死んだ男は現実に死んだ男の人生を引き継ぐ形で、死後の人生を歩もうとする。しかし、現実に死んだ男にはその男の人生があったのであり、入れ替わりは他人の人生を引き受けることを彼に要求する。そしてまた、妻や仕事仲間が彼の最期を確かめようと他人に成りすましている彼に連絡を取ろうと迫ってくる。他人の人生(現在の自分)からも、自分の人生(昔の自分)からも逃れようとする旅路で彼は一人の女と出会う。ガウディの建築を転々としている美術学校の女学生。彼女もまた、いわゆる現実からは遠く隔たれた世界/虚構を生きていたのかもしれない。事の経緯も話さないままに図らずも道を同じくすることのなった二人。現実ではない何かが二人を強く結びつける。しかし、その時も長くは続かない(蛇足だが、短いから幻想的なのであり、長ければそれは現実的となる)。別れのとき。うなだれた緊迫の長回し。それは永遠の時間。too romantic...

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)袋のうさぎ けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。