[コメント] I am Sam アイ・アム・サム(2001/米)
日本は確かに障害者福祉が進んでいるとはいえないが、アメリカもそれほど進んでいるとは思えない。それなのに、この映画は、あまりにも淡々と描かれすぎている。いや、家族愛で押し切っているというか。
サムが働いているスターバックスも結構恵まれていると思うし。(日本じゃスタバのバイトの子らはなぜかみんな結構オシャレに見える・・・気のせいか?ある意味、スタバで働いてることって一部の人からしたらステータスじゃんよー)今の日本じゃスタバはもちろん、他のバイトすら見つからない子だっているのに。それに、仕事中とか日常の中で、もっと多くの壁があるはず。それを全く描かずに最後まで貫いているのは結局この映画をどんどん偽りの世界にしてしまう。
養護学校で教師をしている知り合いが何人かいるが、“彼ら(障害者)は純粋”ってだけではどうにもならない社会があるという。もちろん、その知り合いは彼らの純粋さも魅力も充分分かっていて真剣に彼らのことを考えている。
また、別の教師は『五体不満足』が出たときに、“障害者がみんな乙武さんのようだと思ってもらっては困る”といっていた。もっと深刻な障害者はいっぱいいて、その人たちは本当に社会でも日常でも苦労していると。
そう、私はこの映画を見た多くの健常者たちが、今見つめなおすべき問題を見つめたつもりになるのを恐れているのだ。障害者を取り囲む問題の現実はもっと根深い。『GO』のレビューでも書いたが、差別が含まれる問題というのは、マイノリティの側の立場でしか分からない現実があるのだ。この映画の場合、健常者が現実を美しく描きすぎていることが問題なのである。
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