初見時は、理解力の無さから、戒厳令に至るまでの過程がうまく掴めなかった記憶があります。（わかった後も、「そんなバカな」と思いましたが、その後のおばかな現実の政府を見ていると、もしかしてやりかねない･･･）

例えば、青森県警による、三沢基地司令の連行のエピソードとか、他の作品だったらちゃんとシーンとして描いてくれると思う。「司令、ちょっとこちらへ」「な、何をする！」「貴様ら！！ここは基地ゲート前だぞ！」とか。米軍の関わりも、柘植と荒川の所属する組織の説明も、ちょっとうっちゃったような形で、ひたすら進行して行く目の前だけの「状況」の渦の中に、特車二課は放り込まれる。邦画にありがちな、作り手のやさしい親切心から来る作品の余計なもたつきを切り捨て、洋画にありがちな情緒過剰も押さえこむ。

個人的には、後からじわじわ来るムーブメントでした、この作品は。結局後から色々と補てんさせてもらっています。例えば、

ぷるるるるカチャ「もしもし、南雲と申しますが、特車二課の後藤さんをお願いいたします。････まあまあ、どうもいつも娘がお世話になっております。ところで後藤さん、大変ですのよ、先ほどしのぶの所に、今で言う「元彼」と言うんですの？電話がありまして、いそいそと出かけて行きましたの。着て行く服も色々悩んでいたみたいですし･･･困りましたわ。もう、後藤さんがさっさとして下さらないから、三十路を過ぎてもあの娘すっかり嫁き遅れで・・・。相手の方、今は職業も不定みたいですし、それにひきかえ、そちらはやっぱり腐っても公務員ですから、わたくしとしても安心ですのよ。しっかりしのぶをつかまえて下さいませね。親一人子一人、孫の顔を見るまでは、わたくし死んでも死にきれませんわ！」

････････これじゃただのパロディですね。