よく覚えとらんのだ。ホームに立ち込める蒸気とか、ピョッ、ピョッ、ピョーと響く汽笛とかを俺が本当に聴いたのか。自分が蒸気機関車(汽罐車)に乗った記憶が無い。それでも、幼い記憶にシュボボボッと煙を巻き上げ爆走する彼らは確かに焼きついている。

そして先日、と或る用事で本当に偶然立ち寄った秩父駅のホームで、とんでもないものを見た。C58が普通に停車していたのだ。シュボーッッとか言いながら。鉄っちゃんでない俺でも、体が熱くなるのを感じた。

そして、予約してしまった。東武鉄道のSL大樹の券を。人力ではないだろうが、C11がターンテーブル(転車台)の上を回転するのを夢見るようになった。そして…

2019年の颱風被害により俺の計画は吹っ飛んだ。SLの夢も、また扇形庫に格納されてしまった。…畜生、諦めないぞ、俺は。

　　　　　◆　　　　　◆　　　　　◆

誰の歌だったかどうしても思い出せない。昔よく聴いていた歌 …

「黒い弾丸　突っ走る地平線　白い空へ　しばれる北の国へ　いつも変わることなく　大地の奥の方から　伝わってくる　あの確かな吐息」… だったか？ 今度実家に帰ったらカセットテープを探してみよう。…

　　　　　◆　　　　　◆　　　　　◆

(追記) 多分その歌は南 佳孝の「はばたく鳥のように」なのだと思う。しかしネットで検索してもどうしても歌詞を確認出来ない。コロナ禍第1波明けで実家を漁ったが、テープは出てこなかった。…