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[コメント] 県庁の星(2005/日)

ガンアクションよりこういう映画の方が創るのは大変なんだ。日本映画らしさとその出来に満足。因みに丁寧なパンフレットも良い。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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脚本が非常によい。周到に配置された細かい小道具が良く効いている。野村(織田)と二宮(柴崎)、2人のドラマが充分に組み立てられ、周囲の役者がそれをうまく支えている。

ぼくとしては、終盤の送別会で前に押し出された野村が一人で賞賛を受けるのではなく、仲間(同志)である二宮も呼んで欲しかったのだが(その場では二宮は後ろで感無量に眺めている)、映画の山場がそこになかったのだろう、彼が仲間を実感するのは県庁で段ボール箱を開けた時だった。

柴崎コウの演技に唸った。この娘は上手い。目ヂカラも抜群だし、可愛らしさもある。今後厳重注意だ。

織田が野村を演じた事で、野村の人物設定は決定し、それは成功したと思う。野村は何処にでもいる公務員の代表ではない(とぼくは思う)。彼は本来は悪徳公務員になるようなタイプではない。しかし彼のような人間でさえ、大学を出て県庁に入庁し、エリート街道を歩まされれば、あんな人間になってしまう。その役所の構造腐敗は普遍的だろう。その彼が、奇蹟の出会いによって本来の姿を取り戻したのだとぼくは思う。野村と二宮は、お互いを触媒として、本来の自分(彼らは実際優秀である)を実現していくのである。その力強い前向きなメッセージで、彼らではないぼくらも、自分なりの自己実現を目指す勇気を得られると思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)TOMIMORI[*] 草月

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