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[コメント] パプリカ(2006/日)

道具は益々進化発達してゆくが、それをどう使いこなすかはやはり難しいのだ。
死ぬまでシネマ

夢は太古から現(うつつ)のひとびとを魅了してきた。ひとは蝶となり、鳥となり、或る時は虎になって夢と現を行き交った。やがて物語の中にSFが生まれた。夢はSFの中でもしばしば重要なモチーフとなった。科学はしばしばひとびとの予想を裏切る形で進化してきたが、ひとは自らの夢をSFに投影し、又その夢こそが科学の発展を牽引した。SFはやがてコンピュータが生み出す仮想現実を発見した。それは予言であり、同時に目標であった。SFの予言はネット社会として実現した。…

この作品『パプリカ』を観て最初に感じた<違和感>は、夢は客体化しうるか、という事だ。ぼくらが見る夢の中で<わたし>は常に<わたし>である。それは登場人物<わたし>として在るだけでなく、<あなた>にもなり得るし、状況を見守るだけの存在にもなる。しかし何れにしても<わたし>は夢の主体として存在し続ける。「吾れ夢見る、故に夢あり」だ。夢の融合のアイデアは面白いが、その中で<パプリカ>はあり得るのか? 映画を観ているぼくらは<パプリカ>と共に夢の中を探索するが…いや、もしぼくらが「観なければ」「劇場から出てしまえば」パプリカはその時点で「その夢ごと消える!」のでは?? 詰まりぼくらが映画を観る行為が=夢を見る行為だとするなら、そのスクリーンの裏を<パプリカ>は走れるのだろうか?…

閑話休題。

イノセンス』といいこの作品といい、CGの発達は解るが物語がそれを使うところまで到達していない。いまだに『攻殻機動隊』の先へ進めていない。『スキャナーダークリー』と『ルネッサンス』の予告篇も見たが、さて『シンシティ』の経験からどこまで先へ行けてるかな?

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ishou 不眠狂四郎

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