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[コメント] チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(2007/米)

トム・ハンクスじゃないと、この役は無理。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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マイク・ニコルズは三流の映画監督だが、この企画をプロデュースしたトム・ハンクス自身がこの映画を自ら作り出したといって良い、素晴らしい映画だった。

マイク・ニコルズの映画ではなく、明らかにトム・ハンクスの映画だ。

アフガン問題は複雑で、宗教戦争と他国からの侵略とが重なるので、とても一言で説明ができない。わかりやい対比的な映画として『地獄の黙示録』を掲げればわかるが、あの映画は本作と正反対。つまりアメリカ合衆国が攻めても攻めても落とせないベトナムという国を舞台とする冷戦の一端である。

今回はアフガニスタンを舞台にもっとわかりやすく描かれている。

主人公のチャーリーの多大な人脈、その人物像が浮かび上がる映画となっていながら、アフガンのことを生々しく説明している。

冷静になってみれば、これらが利権にからんでいることは明らかだ。それでも武器をツールとして政治家やスポンサーを動かし、国家予算をぶんどり、結果自分の懐を潤し、多大な借金を分配する法則は目に見えてわかりやすい。この映画の裏側にある現実ももっと理解するべきだろう。

そういう点(つまり、映画に表れなかった醜い部分)が表現されていない点で、他の多くの戦争映画や、アメリカがアメリカ自身を批判する部分には切り込んでいないところが”甘い”と言わざるを得ない。こんな綺麗事だけでアメリカという国が5億ドルもの国家予算を動かすはずなどない。

しかしフィリップ・シーモア・ホフマンのアプローチは相変わらず見事だった。彼の演技は都度変化する。ホフマンアプローチと言っても過言ではない、すごい世界がそこにはある。彼の演技を楽しむだけで、この映画はお金を払う価値がある。

そして、何といってもトム・ハンクスだ。この主人公には彼以外誰もできないだろう。彼独特の幅広い解釈が、この映画の品格を向上させている。

(2008/12/31)

(評価:★4)

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