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[コメント] シルビアのいる街で(2007/スペイン=仏)

探す、出会う、描く、追う、恋愛物語。(2011/11/21)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず、個人的にカメラが安定している映画が好きだ。

この映画を観る前日に園子温監督の『恋の罪』という映画を観たのですが、こちらはカメラが縦横無尽に動き回るアクティブな映画。もう勘弁してくれという程深く説明している映画でした。

だからカメラが暴れる作品の後、こういう映画を観るととても落ち着きます。

そしてこの映画の魅力は説明を極力排除しています。

カフェで主人公がウォッチングデッサンしていても、全く違和感がありません。

街の風景もいいですね。

もともと、小津安二郎とか黒澤明作品をこよなく愛してきた者としては、こういう語り口はたまらなく魅力的です。

もっと言うと、アンドレイ・タルコフスキーとかテオ・アンゲロプロスあたりの表現主義はもともと大好きなので、昨今のアメリカ映画のような騒がしさにはうんざりしていたので。 この映画は落ち着きました。

ロベール・ブレッソンのような切り口も垣間見えます。

この映画のもう一つの特徴は音声でしょうね。

街の雑踏が心地いいんですよ。よく計算されています。

バス停で待つ女性たちとそれを取り巻く静かな雑踏。画家の主人公がきめ細かく影響される雑踏。見事な表現です。

ドラマは案外、何もないところから生まれます。

とても感動しました。

(評価:★5)

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