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[コメント] 映画女優(1987/日)

べぇ〜〜だ!
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







西鶴一代女』の一節だが、当時田中絹代演じたお春を、吉永小百合がシンクロしている。見事であり、この映画のラストとして観る者に複雑な印象を残している。

この映画は田中絹代という、恐らく日本映画界の歴史的最高の女優について、丹念に表現した映画だ。

映画の印象として薄い面はあるが、吉永小百合が演じることで映画としてのアイデンティティーを構築している。

田中絹代吉永小百合は全く別々の存在である。田中絹代吉永小百合ほど美人ではない。

しかし田中絹代が残した映画の数々と、その演技の自然さは、これを超えることなどできないと思う。

新藤兼人監督の『ある映画監督の生涯 溝口健二の記録』にも出てくるが、この映画の頃の溝口健二田中絹代のエピソードは、事実以上に映画として見ごたえがある。当時の時代性と、溝口の存在感と田中の反骨精神がぶるかりあう、そのエピソードを重ねることで、溝口映画をより楽しむことができる。

どんな場合でもそうだが、歴史をひもとく際に、そのきっかけとなるオマージュがあれば、もとの映画はより輝きを放つことができる。

(評価:★4)

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