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[コメント] 情事(1960/伊)

冒頭から最後まで、風景だけがこの映画の真実だ。
chokobo

マリアが最初のエピソードで消えてしまう。映画そのものから消えて、結局最後まで姿を見せない。このことが、この映画の最も驚きの部分だ。だから、この映画の主人公二人は、見えないマリアの恐怖に始終襲われることになる。

冒頭からこの映画は風景を描写する。最初から最後まで風景を見せる。

そして、なぜ二人の関係がギクシャクするのかを全く説明しない。

途中男性が乱れてゆくわけだが、なぜ彼がこのような奇行を行うのかは説明されていない。しかし冷静になれば、彼が目指していた夢、建築家としての夢が実現できなかったことが、イタリアの建築物が彼を押しつぶそうとしていることが想像できる。

だから、次第に彼は乱れてゆく。

しかし、そんな細かいことをアントニオーニは説明もしない。

最後の二人の微妙な関係と構図。画面の中央、やや左側に二人が写される。しかしここでも説明は全くない。ただ風景だけが圧倒的に見る者の目に写るだけだ。

(評価:★5)

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