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[コメント] 夜霧の恋人たち(1968/仏)

この映画に物語は無い。(05・7・06)
山本美容室

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ストーリーは恐らく無い。日常にストーリーが無いのと同じ様に。ドワネルジャン・ピエール・レオーの周りで起こった出来事が画面に映し出されているだけなのだ。

 軍隊からの不名誉な除隊→クリスチーヌクロード・ジャドの両親から夜勤の仕事の紹介→クビ→探偵社へ→尾行の仕事に失敗→靴店への潜入を命じられる→靴店の社長夫人との情事→叱責中に同僚が突然死→葬式→TV修理業へ転職→修理先でクリスチーヌと和解→翌日クリスチーヌを付回していた男から突然「愛の言葉」を二人で聞かされる→FIN

 これらのエピソードの間にもドワネルは色んな女を買っている。「背の高い女はどうしたらいい?」

 日常生活とは退屈の連続である。アントワーヌ・ドワネルを追いかけていなければ殆ど意味が無い映画かも知れない。それにも関わらず見てしまうのはトリュフォーの映画には女性へのリスペクトがあるからである。

 社長夫人との情事の場面を覚えているだろうか。ジャン・ピエール・レオーは口を利くことすら出来ない。探偵事務所への報告も「彼女は素晴らしい!」というような賛美の言葉しか出てこない。これはトリュフォーが女性をいかに愛していたかの告白ではないかと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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