シルクの布のオープニングがＭＧＭミュージカルみたいやね。色使いも原色に近い色彩で派手やなぁ。“LONG　AGO　FAR　AWAY”いう曲バックに流れとるの。アカデミー賞ミュージカル音楽賞受賞曲。ええ曲やなぁ。

　この映画『雨に唄えば』みたいなバックステージ物。最初の１曲目は「ショーはやめられない」いうの。『ショウほど素敵な商売はない』と雰囲気似てるね。ジーン・ケリー舞台監督。袖でコーラスガール厳しい顔で見とるね。「なんだアゴが上がってたぞ。明日は朝９時からリハーサルやるからな」いうの。

　コーラスガールが「あたし毎日おんなじ繰り返しでこの仕事やんなっちゃった」「寝てられる仕事あるよ」「えっどんなん？」「カメラの前で笑ってればいいの。ラクチンよ」雑誌の表紙のモデルの募集をしてたんだね。雑誌が「ヴァニティ」面白いなぁ。「虚栄の市」ヴァニティ・フェアのヴァニティだもんな。ファッション誌だろうね。

　この映画の主役ラスティリタ・ヘイワースも行くの。オーディションにコーラスガールの同僚が来てたの。花嫁のイメージのモデルを探してたと聞いて「元気な人を探してるからあんた元気にやんなさいよ」アドバイスするの。意地悪やね。リタ・ヘイワースは元気いっぱいに振舞って面接ダメになりかける。雑誌の発行人クデールオットー・クルーガーが応募書類の写真を見てリタ・ヘイワースのこと一目で、気に入ったんだなぁ。

　リタ・ヘイワースが雑誌の表紙に載ってからジーン・ケリーの劇場は、ビッグ・ショット（有名人）を一目見ようと満員御礼やね。そのうちブロードウェーのホイートン劇場という大劇場の支配人リー・ボウマンが現われて「あんたはこんな小さな劇場でくすぶってる人じゃないよ」いうて毎日一時間おきに花束攻撃してくるの。

　ジーニアスフィル・シルヴァースいう芸人がおって、ジーン・ケリーとリタ・ヘイワースが毎週金曜日に「ジョーの店」で牡蠣殻の中から真珠を探す遊びしてた。金曜日の晩にリタ・ヘイワースがおらんもんだから「今夜は二人だけ？」ジョー聞いたの。その時リタ・ヘイワースはホイートン劇場におったんだね。

　「ほら踊ってごらんよ。この大劇場は２０００人お客が入れるんだよ。オーケストラピットもあるでしょ」ジーン・ケリーの小屋より立派なの。帰りの車の中で「僕と結婚してくれたら、あの劇場あなたにあげます」言われる。「考えさせて」この時まだリタ・ヘイワースはジーン・ケリーに心惹かれてたんだね。「明日お返事します」

　遅くリハーサルに現われたリタ・ヘイワース驚いた。「あたしの曲じゃないの！」「４５分の遅刻だ。時間を守れない奴に歌わせるわけにはいかない」ジーン・ケリーが怒ってたのは「金曜日に牡蠣の殻を剥いて真珠を探す」儀式に彼女が無断で欠席したことなの。「あなたの気持ちはよく分かったわ。わたしあの人と結婚してこの劇場出て行く」

　　また金曜日。リタ・ヘイワースが一人で「ジョーの店」に来たの。ここにくればジーン・ケリーに会えるかも知れんと思ったんやろね。「ダニーなら軍の慰問に行ったよ」軍の慰問先のジーン・ケリーとジーニアス。トラックが急停車した。「ベッピンだなぁ」「おまえにゃ高嶺の花だよ」「今度結婚するらしいぜ」軍人たちの話題は、時の人ラスティ・マルベルリタ・ヘイワースのことだった。

　意気消沈して辿りついたのは「ジョーの店」牡蠣から歪んだ真珠が出てきた！今日は結婚式当日。ジーニアスが、結婚式場へ駆けつけて歪んだ真珠を渡してくれるように頼むの。「渡してくれるだけでいいから」いうてね。リタ・ヘイワース真珠見てボロボロ泣き出すのね。「わたし結婚できないわ」誓いの言葉の最中に出てってしまうの。

　最後は「ジョーの店」で“LONG　AGO　FAR　AWAY”を歌ってから、ジーニアスも混じって“MAKE　WAY　FOR　TOMORROW！”いう曲を通りで歌いながら踊って映画はハッピーエンド。

　この映画は踊りと音楽が素晴らしいのね。特にリタ・ヘイワースを独立させようか悩んでるジーン・ケリーが、ショー・ウィンドーに映ったもう一人の自分と踊るシーンは、内面の葛藤をよく描いてたなぁ。今だったら簡単に出来る技術でも当時は魔法みたいやろな。半透明のジーン・ケリーとのダンス合戦良かったなぁ。タップダンスが多かったのも嬉しかったなぁ。この映画『ザッツ・エンタテインメント』に取り上げられてもおかしくない出来栄えなんやけどＭＧＭやないからね。みんなに見て欲しいね。