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[コメント] 座頭市二段斬り(1965/日)

大写し・長廻しの緊迫感、手振れカメラのダイナミズム、伊福部昭の叙情的メロディ、後にテレビ界で活躍する井上昭の演出が、初作に次いで緻密な心理描写を誇る犬塚脚本に見事にハマッている。
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







脚本が良い。好きだ。加藤武の用心棒や坪内ミキ子の恩師の娘などが上手に機能していない、という意見もあるだろうが、三木のり平演ずるイカサマ博徒父子に纏わるエピソードが実に沁みる。子役時代の小林幸子が何の罪悪感も無く市の杖を持ち去るシーンは本当に哀しくてやりきれない。

プレスシートの「物語」欄を見てみると、三木はこうして奪った杖を、苦戦する市を見るに見かねて、放り投げ渡すことになっていたらしいのだが、撮影終盤になって急遽、あの印象的なおでん屋のシーンに差し替えられたらしい。そのしわ寄せか、決闘の終盤、悪の成敗から、市が荒野を歩き去るエンディングまでの演出がかなり珍奇だ。市を真似るのり平はいいとして小林幸子、坪内ミキ子がスローモーションで市を呼ぶシーンはなんとしたことだろう。西部劇を意識したのだろうか。個人的に坪内ミキ子のあの、「市さぁああ〜ん」って変な発音が我慢ならなかった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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