[コメント] その男、凶暴につき(1989/日)
シラケることにシラケた男の確信は、ひたすら真っ直ぐに、それも間違った方向へと、歩み突き進んでゆく。島国根性のムルソーに彷徨も太陽も法廷も必要ないのだ。映画の映画性・物語の物語性を生かしつつ、知らず知らずの間に脳内にこびり付いた「あたりまえ」の悉くを破壊し尽くす、真の革命児による真に革新的な処女作。
たけしと白竜が歩道橋ですれ違うシーンの緊張感がたまらない。このロングショットの凄みはスクリーンでしか味わえないだろう。
駅まで来て、たけしは振り返る。降り返って駆ける。まっすぐ歩み続ける彼が振り返るのは、映画中たった三度だけだ。最初は、車で犯人を追うとき。二度目がこれ。
三度目は全てが終わったとき。
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