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[コメント] ラヴィ・ド・ボエーム(1992/仏=伊=スウェーデン=フィンランド)

ボヘミアン三人組の書き分けが抜群。それにしても、このフィルムの質感!素晴らしいよカウリスマキ。
町田

作家は、きこう本コレクターも兼ねていてる通り典型的なデータ知識蓄積型、批評家型「芸術愛好家」で、自らの創作に当たっては感性や偶然性に依存し過ぎず意識的・論理的に臨む。基本的に自信家である。引用を多用するが、既成の様式を破壊し独自の分野を開拓するのもこのタイプである。反面、人間的感情が欠如しているから、敵は多いし、身を切るような恋愛とは縁が無い。変態が多い。他人の不幸を目の当たりにすれば「コレはネタとして使える」とほくそえんでいる。突如として愛に目覚めることもあるが、その多くは挫折して自分の正当性のみ主張する説教親父と化しテレビに向かって毒を吐き続ける。映画人ではゴダールや大島渚がこの典型か。キング・クリムゾンのロバート・フリップもこのタイプだろう。

画家は、とにかく絵を描く事が大好きでこれを生き甲斐としている「職人気質」。このタイプは空腹も性欲も時間も気にせずそれに没頭する。無頓着である反面、繊細で傷つきやすく常に何らかの悩みを抱えている。これが作品に反映してまた悩む、とこの繰り返し。天才と呼ばれるのはこのタイプである。激烈な厳しさと深遠なる優しさを併せ持っている。ただし、クスリや酒で真っ先に身を滅ぼす危険性も孕んでいる。

音楽家にとっては、まず自分が「芸術家」であること、そう言い張ることが何よりも重要である。作品を生み出そうが家で寝ていようが「芸術家だから許される」というのが彼の論法で、肩書きを武器にして女を口説く。芸術活動は嫌いではないが学究的にはならず感覚でどうにかしようとする。しかし才能が不足しているから無意識的模倣が多くなり、それに気付かずに安住しきっていることも多い。彼にとっての自己批判は自己正当化に過ぎず根本的には死ぬまで変らない。こういう輩もムーブメントに乗っかれば出世が出来、世の自称「ゲージツ家」の大半は実はこのタイプだと思われる。尻に火がつくと「化ける」ことも稀にある。映画人では篠田正浩、実相寺昭雄がこの典型、カウリスマキもかつてはこのタイプだったが見事に「化けて」くれた。

なんて勝手に思い込んでるんですね、僕。僕なんか典型的な「作家」タイプですが、今に化けてやる、化けて出てやる!

(評価:★4)

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