[コメント] ワイルド・レンジ 最後の銃撃(2003/米)
簡潔な台詞の取り交わされる、やはり簡潔なエピソードの、その淡々とした積み重ね。これが思いの外心地よい。最初の銃声のインパクト、幾つかの種類の異なるガラス越しのシーン、決闘の前の二人のとぼけたやりとり、人と弾丸が三次元的に交錯する、良くシュミレートされたラストバウト、と見所も多い。
一見シンプルな脚本も随所に「9・11以降」を感じさせる。
が、そんなことは実はさして重要ではない。
ズバリ云ってこれは「中年」の映画である。
予め失われた「黄金時代」への憧れと、青二才だったの頃の自分の分身にいらだちを感じている中途半端な中年ガンマン=コスナー。これは、そんな彼が旅と決闘と恋の中で、それらに決着を付け、揺ぎ無い自己=アイデンティティ=根っこ、を確立するまでの、一種のビルディングロマンスなのである。
「俺は生まれてくるのが遅かった!」とか「ガキを見てると気恥ずかしくて仕方ない」とか思ったことのある男子なら、中年でなくとも十二分に愉しめる佳作。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。