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[コメント] 家族(1970/日)

敗戦国だから撮れた当世版『怒りの葡萄』。
町田

トム・ジョード(『怒りの葡萄』の主人公の名前です、一応)も、ジョン・フォードもアイルランド移民だから当然、カトリックな訳だけど、それを出島、天草四郎の長崎(伊王島)、そこから北海道開拓地への出稼ぎ家族とした、見事な換骨奪胎に膝を打った。

また実行中の大阪万博を(ゲートの外からとはいえ)フィクションの中に捉えてしまうという発想もコロンブスの卵と思う。(例えば、先のワールドカップをフィクション中に有機的に取り込めた現代の映画人など幾人いるだろうか?)

笠知衆は、演技を超えた存在感でいつもどおり、 魅力的な”彼自身”を見せてくれた。やっぱりこの人は凄い。 ビールが本当に美味そうだったな。

全般的にはよく出来た映画だと思うし、 苦手意識の強かった山田洋次を見直すきっかけともなった。 が、単色カラーによる回想シーンはダサイ上に全くの蛇足だし、 子供に涙を拭わせる、転んだ笠に舌を出させる、 といった演出は正直、堪えがたいセンス。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)TOMIMORI[*] 甘崎庵[*] けにろん[*]

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