[コメント] ノルウェイの森(2010/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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どうしても原作対比で考えてしまうけれど、まあこれはもうこの作品だったら、製作が決まった時点でそんなことは覚悟の上だったろうから、勝手に原作対比で評価してしまおう。
例えばキズキが死んだ理由なんてのは、原作では何で死んだのかわからなかった。青春時代の何か突発的な感情だったのか、もちろん直子とうまくやれないことなんかも理由の一つにはあったかもしれないが、いろいろな理由が複雑に絡み合った、読者からは窺い知れない何かがあったのだ、と思わせるような深みがあった。
しかし映画になると、どうも直子とのことがキズキの自殺の主因であるかのような描写に受け取れなくもない。これにより、キズキの死というエピソードは、より単純化され、観客に消化されやすくなってはいるものの、なんだか少し安っぽくなってしまったようにも感じるのだ。
こんな感じで、ほぼ全編忠実に原作に沿っていながら、少しずつ感じる違和感が積み重なり、最後に来る「日本海での慟哭」。そこまでトラン・アン・ユンらしい異国情緒溢れる映像とカットの連続だったところにいきなり日本海。圧倒されたって言えば圧倒されたのだけれど、違和感感じまくりのシーンだった。
緑の演技が、少しワタナベ=マツケンの演技に流されてしまっていたのはご愛嬌としても、眼力が命の菊地凛子が、あれだけキョドった演技を好演してたのにはいい意味で裏切られた。
なんやかんや言いながらも、長尺の映画を飽きずに観ることができたので★3つ。
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