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[コメント] 新しい人生のはじめかた(2008/米)

ケイト役がエマ・トンプソンじゃなかったら、ただのおとぎ話(悪く言えば、嘘っぱち)になっていたはずが、さすがはエマ・トンプソン! たいして美人じゃないアラフィフ独身女の、余計な期待を持たないに限る的な雰囲気が他人とは思われない(笑)
Shrewd Fellow

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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ケイトの、あの必死に読書をしている感がたまらない。これ以上、人生に余計な問題も期待もほしくないのだ。わかるわ〜。恋人がほしくないわけではないが、今でも母親からひっきりなしに電話がきて、自分の時間も持てないのに。そう、余計な期待はしないに限る。ケイトにとって読書は、一番お金がかからない娯楽&現実逃避、そして他人からは人生から逃げているように見えない、むしろ勤勉に見えるという、最高の趣味なのだ。世の中のほとんどの人は自分の楽しみのために読書をしていると思うけど、ケイトは違うと思う。エマ・トンプソンは、そこんとこの空気感まで作り出してて、ほんとにスゴい!

どうせ最後はハッピーエンディングになるに決まってるんだから!と思いながら観ていたし、実際そうなるわけなのだけど、最後のふたりの台詞がすごく心に残った。私たち、うまくいくと思う?と問うケイトに、ハーヴィーは、わからない、でもがんばる。と答える。疲れたアラフィフ女には、がんばる、と言ってくれるだけで充分なのだ。疲れちゃって、これ以上がんばれないんだもん。さらにケイトがハーヴィーに言ったこの台詞が、ケイトの揺れるオバサン心を物語っている。

あきらめて生きる方が楽なの。あなたがそれを奪おうとしているってことに怒ってるんだと思うの。

I'm more comfortable with being disappointed. I think I'm angry with you for trying to take that away.

夢物語なのはわかっているけど、せめて映画の中のヒロインには「あきらめて生きる」人生を卒業していってほしい。と思わせてくれた、すばらしい台詞でした。

(評価:★3)

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