舞台劇の映画化だが映画としての成功はビリー・ワイルダーの手腕だろう。

冒頭のナレーションから饒舌なワイルダー節炸裂。

ウィリアム・ホールデンの要領の良い一匹狼というキャラは『大脱走』のスティーブ・マックイーンに影響を与えたのかも。そしてアニマルとハリーの二人が最高のキャラ。

一応脱走ものに分類されるが脱走にそれほど高い理想を掲げているわけではない。むしろ今を精一杯楽しもうという気持ちが支配している。それはいつか自由になる日が来ることを確証はなくとも確信しているからだろうか。

そしてスパイ探しの妙味。怪しげな人物が本当は無罪だってのは常套手段だが、最後の最後までその面白さを引っ張ってくれる。そのサスペンスの部分とコミカルな部分との完璧な調和が最大の見所。

目玉焼きに対する皆の羨望の眼差しが本物。それが本当に旨そうなんだ。 そして必需品の煙草。吸わない自分からしてみればそれだけでアドバンテージかなとも思ってみたりして。