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[コメント] ファンシイダンス(1989/日)

周防正行は、日本社会を覆う日常的表層に埋もれてしまい「形式と化してしまった様式や権威」を引っ張り出してきて、最も時代を象徴する状況の中に放り込み、そこから抽出される滑稽さをニヤニヤと笑うことに至上の喜びを見る素晴らしく嫌な奴だ。
ぽんしゅう

日本映画史上最も高等とされる小津安二郎という様式を、これまた低俗とされたピンク映画に持ちこんだ『変態家族 兄貴の嫁さん』。現代日本における最大級のレジャーランドと化した大学に残る、封建的閉鎖社会の遺物であるつぶれかけの相撲(国技)部のチグハグなアナクロを描いた『しこふんじゃた。』。開国と同時に野蛮国ニッポンの貴族たちを虜にした、西洋文化への憧れとコンプレックスの象徴である社交ダンスに、恥ずかしげもなく没頭する凡庸な現代の小市民たちを発見しスポットライトの下にさらした『Shall we ダンス?』。

そして、バブル喧騒ニッポンの若者たちと修行僧を描いて「職業と生き方」を問おうとした本作を含めて、私は勝手に周防正行による「現代ニッポン古色蒼然新喜劇」4部作と呼んでいる。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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